乳房再建術後の 経過とケア

手術の方法と種類

乳房再建術の方法

乳房再建術の方法は、大きく自家組織(自分の体の組織)移植と乳房インプラントを挿入する方法があります。

■自家組織移植

自分の体の組織(お腹や背中など)を使って再建する方法です。乳房インプラントと比べるとやわらかい乳房ができます。また自分の組織なので、異物反応が起こらないなどのメリットがあります。一方で、手術時間や入院期間が長い、胸以外にも傷ができ、体の負担が大きくなるなどのデメリットもあります。これには、以下に示す3つの方法などがあります。

遊離腹部穿通枝皮弁法
ゆうりふくぶせんつうしひべんほう
お腹の組織(皮膚・脂肪)に血液を供給する血管をつけて、胸の血管とつなぎ合わせて移植する方法です
  • お腹の筋肉は温存されます
  • お腹に傷ができます
  • 細い血管をつなげるので、血管がつまって血液の流れが悪くなると移植した皮膚・脂肪が壊死(えし)してしまうことが稀にあります
  • お腹の手術を受けたことがある方は、手術の傷跡の位置によっては適さないことがあります
  • 高度な技術が必要なので、受けられる医療機関や医師が限られています
  • 妊娠・出産を考えている方は、主治医と相談して下さい
腹直筋皮弁法
ふくちょくきんひべんほう
お腹の皮膚と脂肪、血管を含んだ腹直筋(ふくちょくきん)といっしょに胸に移植する方法です。「腹直筋」とは、いわゆる腹筋と呼ばれているお腹の筋肉の一つです
  • お腹に傷ができます
  • お腹の手術を受けたことがある方は、手術の傷跡の位置によっては適さないことがあります
  • お腹の筋肉量が減るので、遊離腹部穿通枝皮弁法より腹壁瘢痕(ふくへきはんこん)ヘルニアを起こす可能性が高くなります
  • 妊娠・出産を考えている方は、主治医と相談して下さい

お腹の手術などでできた腹壁の傷跡から、腹腔内の臓器が皮下に脱出する症状

自家組織移植は、採取できる組織(皮膚・脂肪)の量によって、再建できる乳房の大きさは変わります。個人差はありますが、一般的には背中よりお腹のほうが多くの組織が採取でき、大きい乳房にも適します。なお、お腹からの自家組織移植は、同じ方法で2回目の再建術を行う事はできませんので、将来反対側の乳房にがんが発生しても、お腹の組織を使っての再建術を受けることができません。

広背筋皮弁法
こうはいきんひべんほう
背中の広背筋(こうはいきん)と皮膚、脂肪を血管がつながった 状態で胸に移植する方法です。「広背筋」とは、背中にある筋肉の一つです
  • 広背筋(こうはいきん)をとっても、他の筋肉が動きを補うので、日常生活に支障はほとんどありません
  • 部分切除後の変形の再建や乳房の小さい人に適しています
  • 背中に傷ができます
  • 筋肉が収縮した時に乳房の形が変わることがあります
  • 移植した広背筋(こうはいきん)は、年数が経つと萎縮して、乳房が小さくなることがあります

乳房インプラントを用いる方法

シリコン製の人工乳房を入れる方法です。組織拡張器(ティッシュ・エキスパンダー)を入れて、数か月の時間をかけて皮膚を伸ばしてからインプラントに入れ替えるのが一般的です。胸以外に傷はできず、手術時間も短いので体の負担は少ないなどのメリットがあります。

一方で触った時に硬く感じたりします。また、インプラントの形はある程度決まっているため、再建した乳房の形は完全に左右対称となりません。乳房が下垂している場合は、下垂した乳房を再建するのが難しいため、インプラントによる再建は向きません。また、年齢とともに自分の乳房との違いがでたり、異物反応が起こることもあるなどのデメリットもあります。

ティッシュ・エキスパンダ―
乳房インプラント