乳房再建術後の 経過とケア
術後の経過と日常生活
自家組織移植による乳房再建術後の経過とケア
遊離腹部穿通枝皮弁法(ゆうりふくぶせんつうしひべんほう)
手術直後~2週間
1週間から2週間くらいは入院している期間です。この時期の体の状態に気をつけたいことは以下のとおりです。
それでは、それぞれについて述べていきます。
■痛みや腹部のツッパリ感について
胸とお腹に手術による傷ができますので痛みがあります。痛みに対しては、痛み止めを使用していきます。
また、お腹の筋肉は温存されていますが、皮膚と脂肪は縫い縮めていますので、お腹にはツッパリ感が強くあり、まっすぐに伸ばせません。寝るときは膝を立てる(曲げる)か背中を起こすことが必要になります。ほとんどの病院のベッドには背中や膝のところが上がる機能があると思いますが、万が一ない場合は大きめの枕や布団などを丸めて当てるようにしましょう。
■脱水に対する注意について
つなげた血管に血栓ができる可能性がある時期です。血管がつまると、移植した皮弁(ひべん)が生着しなくなってしまいます。水分が足りないと血液はいわゆる“ドロドロ状態”になってしまいます。血液がドロドロ状態になると血管はつまりやすくなります。食欲がなくても、こまめに水分補給をしてください。体の状態で多少変わりますが、1日1000mlは飲水するようにしましょう。なお、入院中は医療者がこまめに皮弁の観察を行います。
■腹帯の着用について
この移植法は、皮膚と脂肪に血管がつながった状態で取るためにお腹の筋肉が縦に割かれています。お腹の筋肉は体を動かしたりすることで、ほとんどたえず動いています。傷は安静にしていた方が治りやすいので、なるべく動きを抑えるために腹帯を締めます。腹帯を締める場所はおヘソより下の下腹部です。骨盤があって締めにくかったり、上方にずれたりしてしまいがちですが、正しい位置でないと意味がありません。ずれたら直しましょう。
■手術した側の腕や肩の運動について
術後に血流の確保が大切です。手術でつないだ血管が安定するのに1週間くらいかかります。食事をする、歯を磨くなどの日常生活行動は大丈夫ですが、手術した側の腕を肩より上に上げる、振り回す、重いものを持つなどのことはしないようにしてください。術後のリハビリは専門の医療者の指示に従ってください。
■感染について
術直後は胸にもお腹にも手術による傷があり、ドレーンが入っています。一般的に、お腹より胸のドレーンの方が早く抜けますが、ドレーンが入っている期間は、挿入部から細菌などが侵入すると感染を起こす可能性があります。皮膚が赤い、痛み方が急にひどくなる、発熱などの症状がでたりします。
■適切な下着について
局所の圧迫を避けるために、ブラジャーは着用しないようにしましょう。