乳房再建術後の
経過とケア

乳房再建について

乳房再建とがんの治療・・・がんの治療が優先です

乳房再建には、乳がん手術と同時に行う一次再建と、乳がん手術が終わって一定期間おいてからおこなう二次再建があります(詳細は乳房再建術を受ける時期と回数を参照)。再建術を行う時期については、患者さんの希望だけでなく、乳がん術後に抗がん剤治療や放射線治療を行うかどうかでも選択できる時期が異なります。
乳房再建は抗がん剤治療や放射線治療の後でも受けることができますので、がんの治療と同時進行できない場合は、がんの治療が優先となります。また、形成外科が無い施設や、乳房再建を行っていない施設で乳がん手術を受けた患者さんでも、乳房再建を行っている施設において二次再建で乳房を取り戻すことができます。どの時期で再建術を受けるのがベストなのかについては、医療者によく相談するようにしましょう。

抗がん剤治療と乳房再建

抗がん剤の治療中は、抗がん剤の副作用で感染しやすくなり、術後合併症のリスクが高くなります。基本的には、抗がん剤治療が終了し、抗がん剤の影響が無くなってから手術を行いますが、乳房再建を行う時期は担当医と相談してください。なお、ホルモン療法では乳房再建を同時進行することができます。

術後放射線治療と乳房再建

放射線治療後に乳房再建を行う場合は、治療終了後1年間はあける必要があります。
放射線治療後は放射線の照射範囲に皮膚炎が起こり、皮膚が固くなり伸びにくくなるので、ティッシュ・エキスパンダーを使用する二期再建は難しくなります。また原則的には、ティッシュ・エキスパンダー挿入中に放射線治療を行うことができません。乳房インプラントに入れ替えた後では、放射線治療を受けることはできますが、放射線の影響によりインプラントで再建した部位が変形する可能性があります。一方、自家組織移植でも、放射線を照射した部分の皮膚が固くなったり、色素沈着により、整容性が悪くなったりすることがあります。放射線治療後に乳房再建を考えられている場合は、スキンケアを念入りに行いましょう。