抗がん剤治療と皮膚障害

皮膚と爪の構造と働き
皮膚と爪の障害をより理解するために

皮膚

皮膚は全身を覆う臓器で、表皮、真皮、皮下組織で構成されています(図1)。

表皮

皮膚の組織の中でも表皮は体の一番外側の組織で、外からの様々な刺激から体を守っています。表皮の細胞は、一番内側にある基底層で生まれ、その後順番に有棘層、顆粒層、角質層に移り、最後は垢になって自然に剥がれ落ちます。このサイクルを一般的に皮膚のターンオーバーと言います(だいたい6週間)。細胞が生まれる基底層は細胞分裂が盛んな所です。また表皮には、皮膚の色に大きく関連する細胞(メラニン細胞)や免疫機能を担う細胞や知覚を受容する細胞などが分布しています。

メラニン細胞

人の皮膚色を決める色素がメラニンで、そのメラニンを作るのがメラニン細胞です。図1で示したように、表皮の基底層に分布しています。

真皮

皮膚のハリや弾力を保つとともに、毛が生えてくる毛包、皮脂がつくられる皮脂腺、汗を出す汗腺のほか、血管やリンパ管、神経などが通っており、表皮への酸素、栄養補給を行っています。皮脂は皮表において汗などの水分と混ざり、表皮をコーティングする膜(皮脂膜)を形成します。皮脂膜のコーティングは、皮膚の防御作用や水分蒸発の抑制をし、水分保持に役立っています。

皮下組織

中性脂肪の貯蔵所の機能、外力に対するクッションの役目や体温が逃げるのを防ぐ保温の役割をしています。

皮膚の役割

主な皮膚の役割をまとめると以下のようになります。