がんの骨への転移と
日常生活

骨の役割

骨の役割

骨の役割は「体を支える」、「脳や内臓などを保護する」、「運動の起点」、「血液を造る」、「カルシウムの貯蔵」の5つあります。

体を支える機能

人の骨は成人で約200個あり、それらが結合し合って、骨格を形成しています。私たちが立ったりすわったりすることができるのは、この骨格が体を支えているからです。

脳や内臓などを保護する機能

骨格の中には空間を形成している部分があり、そこに重要な臓器を入れて保護しています。例えば、頭がい骨は脳を、肋骨や胸骨などは肺や心臓を、背骨(脊椎)は脊髄神経を入れて、外部からの衝撃から守っています。

「がんの骨への転移について」のところで、背骨(脊椎:せきつい)が骨転移(こつてんい)をきたしやすい骨であること、麻痺が主な症状の1つと述べました(がんの骨への転移についてを参照)。背骨(脊椎)にがんが転移すると、中を通っている脊髄神経が圧迫されて麻痺が出現することもあるからです。

運動の起点

複数の骨が連結して「関節」を構成することにより、体を動かすことができます。

血液を造る機能

骨の中心部には「骨髄」という組織があります(下図参照)。「骨髄」には血液のもとである細胞(造血幹細胞)が存在し、血液の生産が盛んに行われています。そのため、「骨髄」はよく「血液生産工場」に例えられます。がんにより骨髄が破壊されると血液生産能力が低下してしまいます。

骨髄のイメージ図

カルシウムの貯蔵機能

骨の主成分はカルシウムであるため、骨には多くのカルシウムが蓄えられています。カルシウムは神経や筋肉の興奮にはたらくミネラルで、通常、血液中の濃度は一定に保たれています。なぜなら血液中のカルシウムが不足すると、ホルモンの作用によって骨に蓄えられていたカルシウムが放出され、逆に多くなると骨に貯蔵されるからです。骨が破壊されると骨内から血液中に放出されるカルシウムが多くなり、骨転移(こつてんい)の全身への影響についてで述べたような症状が起こります。

骨の役割と症状のまとめ

体を支える機能
運動の起点
保護する機能
血液を造る機能
カルシウムの貯蔵機能

動けなくなる
痛み
麻痺(手足、排便、排尿)
脳・脊髄や内臓機能への影響
血液生産能力の低下
高カルシウム血症
骨が弱くなる(骨折)