がんの脳への転移と
日常生活

がんの脳転移と日常生活

脳転移の影響による症状・障害とその対策

脳神経障害

脳神経障害の症状は脳の障害・症状にあるように、さまざまです。ここでは、「視野障害」、「聴力低下」、「嚥下障害」についてお伝えします。

■ 視野障害

視野とは、目を一点に注視した状態で見られる範囲を言います。欠ける範囲で「半盲」や「1/4盲」があります。見えない範囲に物を置かないなどの環境整備や注意を促すために声かけをするなど、周りの方の支援が必要です。

  • 家では患者さんの動線に合わせて、物の配置等を整えましょう
  • 患者さんが見える方向から話しかけましょう
  • 転倒を予防しましょう(運動麻痺・失調・振戦を参考)。また、あわてないように声かけをすることも大切でしょう

■ 聴力低下

耳から情報が入りにくいので、コミュニケーションが取りにくいことや危険の回避が難しいことなどがあります。周りの方の支援が必要です。

  • 「音」で知らせるのではなく、「明かりが点灯する」など、視覚で認識できるように工夫しましょう
  • コミュニケーションを取る時には、患者さんの前方からアプローチするようにしましょう

■ 嚥下障害

口の中で噛む⇒のどに送り込む⇒食道の入口に送られる⇒胃に運ばれるといった一連の動作のどこかに障害があり、食物を正しく飲み込むことができない状態です。

「食べにくさ」は食事を楽しめなくするほか、誤嚥を繰り返すことで肺炎の原因になりますので、注意や工夫が必要です。

  • 口腔内が乾燥している場合は、湿らせましょう
  • 食事の形態や一口サイズを見直しましょう
  • 水分などでむせる場合は、トロミを付けるようにしましょう
  • 「あせらない」、「あせらせない」ようにしましょう
  • 姿勢を正しく保持できるようにしましょう
  • 食べる量が少なくなると、脱水や低栄養が心配です
    適宜、栄養補助食品や機能性食品を利用しても良いでしょう
  • “むせ”に気をつけて、口腔ケアを継続しましょう
嚥下障害があると、むせなくても誤嚥をしている可能性があります。誤嚥性肺炎を予防するためにも口腔ケアは大切です