抗がん剤・放射線治療と食事のくふう

症状と対策

白血球減少の解説

抗がん剤の多くは骨髄の機能にダメージを与え、骨髄で造られている白血球を減少させます。放射線治療では白血球の減少はあまり問題になることはありませんが、放射線の照射が骨髄に及ぶ治療や抗がん剤と組み合わせたりする治療では、やはり白血球を減少させます。
ただ、白血球が減少しても自覚症状はありませんし、感染症を起こさなければ大きな問題にはなりません。そこで感染予防がたいせつになってきます。予防の基本は、手洗い、うがい、口腔ケア、スキンケアです。

  • 白血球減少で悩む患者さんの声

    白血球の数が減少し、注射をして数値を上げた。
    口の荒れ、ムカムカ、下痢がなくなり、足先がしびれ、今も、手足などが突っ張ったようになることがある。

    抗がん剤の副作用による白血球減少で毎日通院したり、注射をしたりする必要があり、心身ともにきつかった。

    白血球の減少が続いているため、歯科の治療を避けたり、転倒しないように家で静かに過ごしたりしている。

    抗がん剤の副作用で体がつらい。
    白血球減少による感染症の話を聞き、心配。

    白血球の極度な減少。

    感染症が疑われる症状

    • 37~38℃以上の高熱
    • 寒け、ふるえ
    • 咳、のどの痛み
    • 下痢、腹痛
    • 排尿時の痛み、血尿、頻尿、排尿後も尿が残る感じ
    • 肛門痛
    • 皮膚の発疹、発赤
    • おりものの増加、性器出血、陰部のかゆみ
    • 歯肉痛、歯痛
  • 医師から「発熱や咳など感染が疑われるときは受診を」

    感染の機会を減らしましょう

    抗がん剤治療で白血球が減少している時期には、細菌・ウイルス・真菌などの感染症にかかりやすくなります。そこで、治療開始前には、肺炎球菌ワクチンや時期に応じてインフルエンザワクチンを受け、感染予防に努めてください。また、虫歯や歯周病や皮膚感染症があれば、歯科や皮膚科の診療を受け、敗血症を防止します。
    治療が始まり、白血球が減少している間は人混みを避け、風邪やその他の細菌感染症を防ぎましょう。満員電車に乗ったり、混雑した場所に行くときにはマスクをつけましょう。口や鼻から入る細菌やウイルスに対する予防には、手洗い、うがい、食事の衛生管理もたいせつです。白血球が激減している場合には、白血球を増やす薬剤を投与することもあります。
    抗がん剤治療による白血球減少時に、感染症が疑われた場合には、速やかに抗ウイルス薬や抗生物質による治療を開始しなければならないので、できるだけ早く病院に連絡しましょう。

  • 看護師から「手洗い、うがい、口腔ケアを習慣づけましょう」

    感染を予防するための生活習慣を身につけましょう

    白血球減少時の食事に関する制限は、主治医の指示に従ってください。主治医から指示がなければ、あまり神経質にならずに、普段通りの生活を送ってよいでしょう。
    ただし、感染予防はしっかり行いましょう。帰宅時にはうがいや手洗いを行います。手洗いは調理前、食事前などにも行って下さい。また、口腔ケア(「口腔内トラブルをやわらげる口腔ケアの基本とポイント」参照)をこまめに行い、皮膚の清潔や保護、保湿にも心がけてください。

  • 栄養士ら「衛生管理に注意しましょう」

    冷蔵庫の過信は禁物。台所用品や食器も清潔に。

    食材は新鮮なものを使用しましょう。洗える食材はていねいに洗い、まな板や包丁、ふきんなどの台所用品は定期的に殺菌します。調理する人の手に傷がある場合は手袋をして調理をするか、他の人に調理をお願いしましょう。下痢やおう吐がある場合は、調理するのを避けてください。
    食器類も清潔にして使用しましょう。食事は作りたてのものを食べるようにし、ペットボトルはコップにあけてから飲むようにします。電子レンジは温めムラが生じる場合があるので注意が必要です。また、冷蔵庫も過信せずに早めに使いきるようにしましょう。
    「白血球を増やす食べ物はありませんか?」という質問をよく受けますが、特別どの食品でということはなく、バランスよく食事をとり栄養状態を良好にすることがたいせつです。