抗がん剤・放射線治療と食事のくふう

生活と食事のくふう

神経障害があるときの食事作りのくふう

がんの治療による副作用で末梢神経障害が起こると、手にしびれや痛みが出ることがあります。また、手術や放射線治療により、腕や手にリンパ浮腫が出ることもあります。こうした症状があると、「物をつかみにくい」「手に力が入らず、落としやすい」「熱いものに触れてもわからずにやけどをした」「指先を使う作業ができない」といったトラブルが起こります。そうなると、食事作りが思うようにできないことがあります。
末梢神経障害は、個人差もありますが、治療が終わっても症状が改善するまで時間がかかります。1年以上、症状が続くこともまれではありません。そこで、調理器具をくふうしたり、市販の食材や料理を活用したりして、食事作りをするためのくふうすることが必要です。

物をつかみにくいとき

包丁を握ったり、びんやペットボトルの蓋が開けにくいときなど不便があるときは、すべり止めシートがあると便利です。包丁も柄にシートを巻いて太くすると握りやすくなります。
びんの蓋を開けるときも、シートを巻くと開けやすくなります。オープナーもゴム製のものは扱いやすく、さまざまなサイズの蓋に合うタイプもあります。
包丁の代わりに、軽い力で切れるスライサーやチョッパー、ピーラー、フードプロセッサーなどの調理器具をじょうずに利用しましょう。肉や魚は下処理のすんだものを選び、野菜は冷凍食品やカット野菜を活用するとよいでしょう。

すべり止めシート
しなやかで弾力性のあるシリコンゴム製品がおすすめです。包丁の柄に巻いたり、びんの蓋をつかんでも、すべらずに密着して動かせます。

ゴム製オープナー
イソプレンゴム製などの弾力性のあるタイプは、すべり止めの効果もあります。

スライサー
本体をボールやまな板に固定できる滑り止めのついている製品を選ぶと、安定性が高いので、使いやすいでしょう。

ピーラー
皮むき器も大型のものなら大根やにんじんの薄切りに使えます。

箸が使いにくいとき

スプーンやフォークで代用しましょう。柄が太いほうが持ちやすいようです。介護用に持ちやすくデザインされた箸やスプーン・フォークを試してみるのもよいでしょう。

スポンジグリップつきスプーンなど
弾力のある太いスポンジ製グリップは小さい力で握ることができます。グリップのみの別売りもあり、手持ちの食器に組み合わせて使うことができます。

グリップつき箸
グリップが指を支えるので、小さな力で握って箸先を動かすことができます。グリップの形や大きさはさまざまなので、握りやすいものを選ぶとよいでしょう。

感覚が鈍くなっている場合

末端神経障害により、温度を感じにくくなるため、熱いものを触っても気づかない場合があります。うっかり火傷をしないよう、直接、鍋やフライパンなどに触れずにすむよう、鍋つかみなどを使用しましょう。

なべつかみ
シリコン製品は、耐熱性、防水性、すべり止め効果もあり、便利です。

寒冷刺激を避けましょう

抗がん剤の種類によっては、寒冷刺激が症状を誘発したり、悪化させる要因となることがあります。冷たいものに触れたり、飲んだりしないようにしましょう。体が冷えると症状が悪化するからです。
炊事をするときは、水を避けて湯を使い、裏毛のついた厚めのゴム手袋を着用しましょう。軍手に使い捨てのビニール手袋を重ねても代用できます。
ごはんは、水に触れずに米とぎできる器具を使ったり、とがずにすむ無洗米、真空パックのごはんなどを活用しましょう。

看護師から

しびれの症状をやわらげる生活アドバイス

末梢神経障害によるしびれは、しびれている部位を温めると症状がやわらぐ場合があります。血液循環をよくするために、入浴時などにお湯の中でマッサージをしましょう。
ただ、抗がん剤の影響で皮膚が弱くなっている場合がありますので、強くこすらず、さするような気持ちで行ってください。マッサージができない場合は手のグーパー運動でもよいでしょう。
また、皮膚を濡らしたままにしておくと冷えて症状が出やすくなります。手洗いや入浴後はできるだけ早く水けをふきとりましょう。