がん薬物療法の
概要

副作用対策について

患者さんご自身でできる副作用対策

末梢神経障害(手足のしびれ・感覚異常・筋力低下など)

末梢神経障害が起きる薬剤は限られています。症状の出現は総投与量と関係が深いとされ、回復には長い時間が必要なこともあります。この初期症状は、患者さんからお話して頂かないと医療者には気が付かないことがあります。また、この症状は、がまんをしていても回復しません。そして、対応が遅れ重症化すると症状の回復が不十分になることもありますので、何か症状を自覚したら、早めに担当医に相談しましょう。

《末梢神経障害の影響の一例》

手足のしびれ
患者さんのイラスト
不快感、痛み、物がつかみにくい、歩きにくい、ボタンがかけにくい、など
感覚異常 温度がわかりにくい、耳が聞こえにくい、 など
筋力低下 力が入らない、転倒しやすい、物が持てない(運べない)、など

《早期に対応するために》

  • 自分の治療薬で末梢神経障害が起こり得るかどうか確認しましょう
  • 「物が持ちにくくなった」、「ボタンがかけにくい」、「字が書きづらくなった」など、いつもと違うと感じたら医療者に伝えましょう
  • 傷やあざができても気が付かない場合も考えられます。入浴時などに全身をチェックしましょう

《しびれに対するケア》

  • 冷感刺激を避け、しびれている部分を温めましょう
  • 入浴時などにお湯の中でマッサージをする、指の曲げ伸ばし運動や散歩するなど、無理のない範囲で循環を良くする工夫をしましょう
マッサージをするイラスト
  • 歩く時には転倒に注意しましょう。脱げやすいスリッパやサンダル、転びやすいヒールが高い靴は避けましょう

《感覚異常に対するケア》

お風呂のイラスト
  • なべやフライパン、ストーブなどで火傷しないように気をつけましょう
  • 風呂温度の確認は、水温計を使用したり、家族等に依頼したりしましょう

《筋力低下に対するケアや工夫》

  • つまずきや転倒に気をつけましょう。歩く時はかかとから着くように、また太ももを上げるように意識しましょう
  • 歩きにくい時は介助を依頼しましょう
  • 可能であれば、床や畳に座る生活より、椅子に腰かける生活にしましょう
  • 手すりの設置や段差の解消、敷物を取り除くなど、家の中でも安全に配慮しましょう
  • 包丁などで手を切らないように気をつけましょう。ピーラーやフードプロセッサーなどを使用したり、肉や魚はお店でカットしてもらったり、カット野菜を利用するのもよいでしょう
  • ペットボトルなどのフタが開けにくい場合は、すべり止めシートを活用するとよいでしょう
ペットボトルのイラスト
  • 衣類は着脱しやすいように、かぶるだけのものやボタンが大きめで確認しやすいものを選ぶとよいでしょう
  • お箸が使いにくい場合は、柄が大きいスプーンやフォークで代用するとよいでしょう

―福祉用具や住宅改修の検討と社会制度―

療養生活を支える社会制度やサービスがあります。一部を簡単に紹介します。患者さんの状態により使えるしくみが異なりますので、詳細は各相談窓口にお問い合わせください。

公的介護保険制度
概要 介護や支援が必要になったときに、適切なサービスを受け、自立した生活ができるようにするしくみです。利用者負担は1~3割*です(*2~3割:65歳以上で一定基準以上の所得の方)
対象 ①65歳以上の方で、病名に関わらず介護が必要な方
②40歳以上64歳以下の医療保険加入者の方で、介護が必要かつ16種類の特定疾病の方
給付内容 福祉用具の貸与/福祉用具購入費の支給(年間10万円)
住宅改修費の支給(一人につき20万円以内)
相談窓口 住居地の市区町村役場の介護保険担当課、病院の相談室、地域包括支援センター

※この情報は、2023年12月現在のものです。制度が変更になると内容も異なりますので、その都度確認してください。

社会福祉協議会の車いす貸出事業
概要 病気、高齢、けが等で“一時的に”車いすが必要になった時に、無料もしくは安価でレンタルができます。費用や貸出期間は市町村によって異なります
相談窓口 居住地の社会福祉協議会
福祉用具の一般販売・レンタル
概要 介護保険の対象外の方でも福祉用具の販売・レンタル業者で福祉用具の購入や有料レンタルができます。なお、福祉用具の種類によっては、レンタルができないものもあります(シャワーチェアなど)
相談窓口 福祉用具販売・レンタル業者、病院の相談室など