がん放射線治療の
概要

放射線治療の副作用(有害事象)と対策

放射線治療の副作用(有害事象)とは

放射線治療の副作用には、脱毛や皮膚の発赤や色素沈着など、外見の変化に関わるもの、食事が飲み込みにくくなる(痛み)、便や尿の排泄障害など日常生活行動に影響を及ぼすもの、そして粘膜からの出血(下血、血尿など)や肺炎など重症化すると命に関わるものなどがあります。

いずれも患者さんの生活の質(QOL)を低下させます。できるなら起こらない方がよいのですが、残念ながら完全には避けることはできません。しかし、過度の心配はいりません。放射線治療を行ってきた経験から安全に治療していく方法や注意するポイントなどはわかっていますので、備えることや早めに対応することも可能です。そのためには、患者さん自身でも副作用について正しい知識を身につけることが必要です。

  • 副作用は、放射線が当たった範囲(部位)で起こります
  • イラスト
  • 体を通り抜ける性質のある放射線では、通り抜けた部位も症状が起こることがあります
  • 副作用には、急性期反応と晩期反応があります
  • 二次がんの発生を心配するよりも病気の治療が優先です
  • 出現する症状の程度には個人差があります

放射線が当たった範囲(部位)で起こります

放射線治療の副作用は、体外照射でも小線源治療でも放射線の当たる範囲(部位)で起こります。例えば、胸の治療で頭の脱毛は起こりません。言い換えれば、どこに当たるかで起こりやすい副作用は異なりますので、症状はさまざまです。また、エックス線やガンマ線など、体を通り抜ける性質のある放射線では、通り抜けた部位にも症状が起こることがあります。

急性期反応と晩期反応があります

放射線治療の副作用には、治療開始後から照射後数週間までに生じる「急性期反応」と照射後数か月から数年で生じる「晩期反応」があります。一般的に、急性期反応は多くの人に生じる可能性がありますが、治療が終われば徐々に回復することが多く、一方、晩期反応は生じることはまれですが、生じると回復困難、あるいは回復に長時間有することが多い傾向にあります
主な照射部位と副作用の症状の一例に放射線の照射部位(臓器)ごとに主な急性期反応、晩期反応を示しました。症状を知ると不安に思うかもしれませんが、気をつける症状を知ることによって、早期に対処することも可能になります(放射線治療の副作用(有害事象)対策についてを参照)。

二次がんについて

放射線治療の副作用の中に「二次がんの発生」があります。これは、治療の終了後、数年以上経過して放射線治療を受けた部位に新たながんが発生することですが、頻度は非常にまれですので、現在の病気の治療を優先した方がよいと考えられています。

個人差があります

放射線治療による副作用の症状や程度は、体のどの範囲にどの程度の放射線が当たるのか、放射線の種類、患者さんの身体状況などにより異なりますので、個人差があります。

手術や薬物療法を組み合わせて治療が行われている場合は、副作用のリスクが異なってきたりするので、確認しましょう。
主な照射部位と副作用の症状の一例(イメージ図)