友人から代替療法を奨められました。試してみる価値はあるのでしょうか？

代替療法には、漢方薬、気功、鍼灸、指圧、マッサージ、カイロプラクティックなどのほか、いわゆる民間療法、健康食品、サプリメントも含まれます。 近年、健康志向の高まりなどによって、代替療法の利用者が増えていると言われ、患者さんの多くは、がんの進行を抑えたり、がんを治したり、がんの症状を和らげたりすることを期待して、代替療法を使うようです。
しかし、これまで行われた信頼できる研究では、代替療法が、がんの縮小や治癒に関して、通常の治療（手術、抗がん剤、放射線）よりも優れた効果をあげたことは、残念ながらありません。
一方、「不安」、「悪心」、「リンパ浮腫」に対するマッサージなど、つらさを和らげたり、こころの支えになったりする点では、代替療法は有効的な場合もあります。
代替療法を行うことで、標準的治療を受ける時期が遅くなってしまったり、標準的治療を受ける機会を失ってしまったりすることは、避けなければなりません。健康食品の中には、抗がん剤の効果を弱めたり、薬が体から排泄されるのを邪魔したりするものもあります。また、がんの性質や、がんの治療状況によっては、代替療法によって、かえって体調が悪化することもあります。
代替療法を試す前に、担当医に必ずそのことを伝えて、本当にあなた自身のためになるものなのかどうかについての意見を聞いてみてください。また、どうして代替療法を試してみたいという気持ちになっているのかを担当医に話してみましょう。もしそれが、今受けている治療法に関する不満や不安、がんの痛み、つらさが原因であれば、担当医はあなたにとって本当によい解決方法は何か、提案してくれるはずです。

「『健康食品』の安全性・有効性情報」については、独立行政法人 国立健康・栄養研究所のホームページ（http://hfnet.nih.go.jp/）が参考になります。「基礎知識」、「被害関連情報」、「話題の食品・成分」の科学情報などがあり、効果や副作用、科学的検証の状況などを確認することができます。
「がんの補完代替医療ガイドブック」は、厚生労働省がん研究助成金「がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究」班が編集した冊子で、四国がんセンターの厚生労働省がん研究開発費「がんの代替医療の科学的検証に関する研究」のページ（http://www.shikoku-cc.go.jp/hospital/guide/useful/newest/cam/index.html）からPDFでダウンロードできます。