抗がん剤治療における骨髄抑制と
感染症対策

骨髄の機能と骨髄抑制、原因など
より理解するために

骨髄抑制(こつずいよくせい)とは?

骨髄の機能が低下して、血液の生産能力が下がることを「骨髄抑制」と言います。骨髄抑制は、使用される薬の種類や投与量、患者さんの体の状態などによって、程度や発現時期が異なります。そして、吐き気や脱毛などの症状と違って、自分ではわかりにくい副作用で、重篤化する場合もあるので、必ず定期的な血液検査が行われます。

骨髄抑制の症状と経過をまとめると、図1、表2のようになります。

(図1)骨髄抑制;症状の一例

(表2)骨髄抑制の経過(目安)

赤血球 寿命が長いので、白血球や血小板の減少に比べて緩やかに出現します(薬の投与後2週間~1か月以降)。
白血球 薬の投与後1~2週間で最低値になり、その後1~2週間かけて徐々に回復します。
血小板 薬の投与後1週間目位から出現し、2~3週間で最低値になります。回復は白血球よりゆっくりです(3~4週間)。

表2で示したように、骨髄抑制の中でも最初に抗がん剤の影響を受けるのが白血球です。そして、赤血球や血小板は「輸血」で補うことができますが、白血球はできません。そのため、まず感染対策(感染症とワクチン(予防接種)日常生活についてを参照)が必要になります。下に改めて感染が起こりやすい体の部位と疾患や症状の一例を示します。

感染が起こりやすい体の部位と疾患・症状(一例)

一般的に感染症は外に通じている部位で起こりやすい